BOX 1E シグナル伝達と細胞内シグナリング
ここでは、様々な発生過程で重要な役割を果たすWnt(ウィント)ファミリー細胞間シグナルタンパク質による細胞内シグナル経路を示す https://gyazo.com/97cd40dede09957a17056cab27f0fbb6
Wntタンパク質は、これまで調べられたすべての多細胞動物の発生過程で繰り返し細胞運命の指定に使われている Wntタンパク質が活性化できる細胞内シグナル経路の1つで、すべての動物の初期発生で細胞運命の指定に関わる経路
多くの発生に関わるシグナル経路と同様に、Wntシグナルに核における遺伝子発現の変化を引き起こす
この場合では、Wntシグナルが細胞質でβ-cateninタンパク質の分解を抑制し、その結果β-cateninが蓄積し、一部が核に入る
β-cateninが核にないと転写コリプレッサーがTCF転写因子に結合し、発現を抑制する
Wnt自身は細胞内に取り込まれないで、そのシグナルはFrizzledとその共受容体LRPによって膜を通して細胞内に伝えられる これらの受容体がWntと結合して活性化すると、β-cateninをリン酸化する分解複合体のプロテインキナーゼが膜に移行し、活性化されたLRPの細胞質端をリン酸化する
リン酸化によるタンパク質の活性の変化、あるいは他のタンパク質との相互作用の変化は、シグナルを先へと伝えるのによく用いられる
このことによって分解複合体からβ-cateninが解離し、遊離β-cateninが蓄積、核に移行する
そしてβ-cateninが核内でコリプレッサーと置き換わってTCFと結合し、標的遺伝子の発現を引き起こす